「黒たんの為に、二人でいっしょうけんめい作ったのーvv」
「黒たん、あーんしてvvね、おいしぃー?」

幼少より手塩に掛けて育ててきたファイとユゥイは、今春無事中学に進学した。
家事全般を上手にこなし、俺が仕事から帰るまでにいつもふたり仲良く夕食の準備をしてくれている。
俺の為にと張り切って料理する姿は、健気でいじらしいと思うのだが。
「う・・うめぇけどな、おまえらちょっと・・」
「やったあー!!黒たん、おいしいってーvv」
「わーい!!よかったねっファイvv」
近寄りすぎだと注意する声は、甲高い歓声にあっさりかき消された。
多分、これは男なら誰もが羨やむ状況なのだろう。
しかし俺を魅了してやまない愛しい双子は、決してもいではならない禁断の果実。
(・・こういうのを、きっと拷問と呼ぶんじゃねぇだろうか・・・)



双子の抗いがたい魅力に負け、手を出しそうになったのは二年程前の事。
幼い彼らに襲い掛かるなど言語道断、しかし自制する自信がないからと無邪気にじゃれ付く事を
拒んだなら、蒼い瞳は悲しみに沈むだろう。
だから俺は己を強く戒め、欲望に屈しない心を手に入れると決意した。もう二度と彼らの純粋な心を
傷つけまいと、固く胸に誓ったのだ。
あれから鍛え上げた強靭な精神力は、そん所そこらの修行僧にも全く引けをとらないと自負している。
が、しかし。
双子の誘惑も、日々目覚しい成長を遂げているのだ。
肩より伸びた金の猫っ毛を揺らせる、美少女紛いの美少年。
甘く薫るようなミルク色の肌は幼い頃と変わらないが、華奢な手脚はすらりと伸びた。
長い睫毛に縁取られた蒼は潤む宝石のように煌き、プルンと艶のある小さな桜唇で舌足らずに俺を呼ぶ。
あどけなさを残したまま大人へと変貌してゆく肢体は、危なっかしい色香が漂う。
(それにこいつら、どうして寄りによっていつもこんな格好なんだ・・!)

「ねvもっとたくさん食べてーv」
何故か俺のワイシャツを気に入っているらしいファイは、今日も勝手にそれを拝借していた。
大きく開いた襟ぐりからは、ちょっと捻れば簡単に折れそうな細い首と綺麗な鎖骨が覗いている。
その下にあるだろう、ピンクの胸の先だとかーいつも一緒に風呂に入って見ているものなのに、
何だかそれらはよからぬ妄想をかき立てる。
シャツの裾から伸びる脚は美しい脚線美を描き、穢れない白さを見せつけるかのように
向かい合わせで膝に跨ってくるのだ。ぴったりと胸に寄りかかって上目遣いに甘えてられて、
目の遣り場に困る。感触から推測するに、ワイシャツの下は小さな下着のみだ。
一応食べてと強請っているのは己でなく、箸で摘んだタコさんウィンナーであるのだが。
「甘ぁーい、デザートもあるよーvv」
そのデザートよりずっと甘ったるい声で囁くユゥイは、フリルが裾に揺れるリボン付きキャミソールに
ジーンズ地のホットパンツ姿。ぴったりしたジーンズ地が覆うヒップラインは、小さいながらも思わず
手を伸ばし撫で回したくなるほど可愛い形をしている。そんな扇情的な格好でとてとてと背後に回り、
露な二の腕を首に絡めて摺り寄せてきた。ただでさえ柔らかいのに、摺り寄せられる二の腕の裏は、
俺のざらついた手で撫でただけでも傷付けてしまいそうなどの柔らかな感触だ。

「黒たぁーんv大好きーっvv」
「黒たんの匂いがする~vv」
筋肉の付いた腕にすりすりと擦り寄ってくるファイと、鍛えた太い首筋にくんくんと擦り寄るユゥイ。
食卓には双子の努力の賜物である夕食が並んでいるのだが、飯どころではないのは毎回のことだ。
可愛い彼らを幸せにする為、常に好きなだけ甘やかせて可愛がってきた。やりたい放題にさせている為、
一緒にいれば四六時中こんな感じなのである。
(俺の教育方針は、これで合っていたのだろうか・・・?)
仔猫のように絡み付き全身で甘えてくる双子は、殺人的に可愛らしい。一般的な男がこの状況に陥れば、
百発百中速攻で押し倒し抱いてやるに違いない。耐え忍んでいる自分を、我が事ながら尊敬してしまう。

(押し倒しちゃ・・いけねぇんだ)
以前エッチをしてくれと迫ってきた双子だったが、その時彼らはその意味を幼子らしく取り違えていた。
しかしその後学校の性教育で正しい知識を仕入れ、その日はふたりして肩を落として帰ってきたのである。
『あのね、学校で習ったの・・えっちって、男の子のカラダと女の子のカラダじゃないと出来ないんだね。
オレ達と黒たんは男の子同士だから、そうやって愛しあうコト・・出来ないみたいなのー・・』
男体と女体の性行為について教わった双子は、どうやら女性器がなければ性行為は出来ないと
結論付けたらしいのだ。身体を使った愛情表現への道を阻まれしょんぼりする双子を憐れに思ったが、
その一方で心底胸を撫で下ろした。男同士でも出来ると知ればエッチをねだってくるのは確実で、
それを宥めすかすのは難しい事この上ない。

俺は双子のことが好きだ。世界中の何より愛しているし、一生守ってやりたいと思っている。
しかしそんな淫らな行為は、断じてしてはならないのだ。
双子がこんなにも全身全霊で信頼し慕ってくるのは、俺がこいつらを助け出し育てたからだろう。
俺は彼らの育ての親で、雛の刷り込みのように初めて優しくしてくれた者に懐いているだけなのだ。
いつかその事に気づき、親元を離れ巣立つ時が来るだろう。だから誤ってそういう行為をしてしまった
として、こいつらがそれを自覚した時どれだけ深い傷を受けるか。
だから大人である俺が、その一線は何としても守ってやらねばならないのだ。

と、自らに言い聞かせるものの。
「黒たぁん、大好きっvvなでなでして~vv」
「ねぇねぇvふたりいっしょに、ぎゅ~ってしてーvv」
「ったく、しょうがねぇな・・。おら、二人とも膝に乗れよ」
要望通りふたりまとめて胸に抱き込み優しく撫でてやれば、頬を染め幸せそうに瞳を閉じる。

抱き締めただけでこんなに蕩けそうな表情をする双子に、胸の奥の欲望が疼いてしまう。
こんな無防備な子供を押し倒すのは、赤子の手を捻るより簡単だ。
全身で俺への愛情を表現するこいつらの、細い腰を掴んで。
脚を開かせ俺のものをぶちこんでやれば、それでも甘い声で悦ぶんだろうか、とか。
高く途切れそうな嬌声と、小さな頭を振るたび飛び散る幼い涙の色、だとか。
そんな下卑た妄想が、脳内を侵食するのだ。

深呼吸で精神を統一し雑念を振り払おうと努力するものの、柔らかな内腿で俺の脚を挟んできたり、
白く細い指先で筋を辿ってきたりするので我慢大会にもほどがある。
双子の過剰なコミュニケーションはだんだんエスカレートしてきた気がするが、色気づいてきた所為で
そう見えるだけだろうか。
ともかく風呂や添い寝をせがまれようが、強靭な意志で己を制し受けて立つしかない。
(耐えろ俺!誓ったじゃねぇか、もう二度と己に負けねぇと・・!!)


愛らしい双子との、幸せながらも拷問のような日々。
そしてついに、恐れいていた事態が巻き起こってしまったのである。










初えっち編のはずなのに、全然えろじゃない・・!!(ガーン)
そしてえろが始まったら、すごく長くなりそうな気がする・・・我慢の時期が長かったしね(汗)!

         
   

ふたご幸せ物語 初えっち編

初えっち編