バナー
永遠ーエピローグー

ふと、肌を刺す邪気が和らいだ。
(・・・え?)
脚を止め、肩で大きく息を繰り返しながら周囲を見回す。

見上げる青空はどこまでも澄み渡り、小鳥達の歌声が遠い山間に反響している。
光を弾き瑞々しく茂る青葉、仄かに漂う花の香。
穏やかな風が渡り、柔らかく体を包み込んだ。

「諏倭に・・・諏倭に、入ったんだ・・!!」

次々と襲い掛かる禍々しい魔物共を無我夢中で薙ぎ倒しながら、妖気渦巻く地獄絵図を駆け抜けてきた。
地の底から響き渡る咆哮、倒しても倒しても沸いてくる忌まわしき異形。
さっきまで渦中にいた血生臭い惨状が嘘のように一変したのは、全てあのお方のご加護によるものだ。
偉大なる力に畏敬の念を深め、はやる心を抑えきれず駆け出した。
魔物に切り裂かれた傷の痛みも忘れて真っ直ぐに目指すはのは、この地を遥か見渡せる諏倭山の頂。

そこにおわす、“伝説の忍者”の元へ。



諏倭ーーーそれは、彼の故郷であったと語り継がれている地だ。
緑広がる一大領地は代々、広く民を愛し民から広く愛された領主と姫巫女が周辺に蔓延る魔物達を退けており、
長きに渡る安寧が守られていたという。
しかし遡る事幾年月、世の理に抗う者の手に掛かり、諏倭は跡形もなく滅ぼされてしまった。
唯一の生き残りであった領主の一人息子ーー後に“伝説の忍者”となる御方は白鷺城へと召され、月読様直属の忍者として
生きる事となる。
そして統べる者も民も全てを失った諏倭は凶悪な魔物共が跋扈するようになり、後長らく草木も生えぬ不毛の地と化していた。
が、今ここ諏倭を見渡せば、緑輝く樹々が生い茂り、野花は彩とりどりの花びらをそよ風に揺らめかせている。
森の木陰には柔らかな毛並みの小鹿や楽しげに跳ねるうさぎの姿が垣間見え、花香には蝶達が蜜を求めて舞い戯れていた。
今諏倭の地は、御方の力によって魔物達から守られているのだ。



威風堂々とした雄姿を誇る諏倭山の麓へと到達し、幾重にも重なる枝々を掻き分け一心に頂上を目指す。立ちはだかる岸壁を
よじ登るにつれ高鳴る鼓動は疲労の所為ではなく、憧れてやまない“伝説の忍者”と対面できる緊張感と高揚によるものだ。
もう少し、あと少しで会えるーーーー全身全霊を尽くして登りきったそこは、眩しいほどに視界が開けた。


「・・・、黒鋼様・・・!!」


険しい山にもかかわらず不思議と美しい樹々や花々に彩られた山頂は、あたかも天界の庭園を思わせた。
そしてその中心にそびえ立っているのは、天まで届く、ただ見上げるばかりの荘厳な石碑。
硬く磨き上げられた黒曜石の元に、伝説の日本国最強忍者、黒鋼様が弔われているのだ。その戦歴に相応しい圧巻たる墓標に、
知らずと感嘆の溜め息が漏れる。どんな強大な魔物を相手にしても瞬く間に討伐したという圧倒的な剣技、どんな耐え難い苦難にも
決してひるまず立ち向かって行ったという鋼の意志。
真の強さを備えていた大きな存在は、死してなおも魔物共から畏れられているのだ。
お隠れになった御方が諏倭に葬られた時を境に、この地を占領していた魔物達は一体残らず姿を消したのだという。


憧れの、日本国最強の忍者。
日本国の忍者たる者誰しも黒鋼様を目標とし、その高みを目指して修行に励んでいる。
もちろんそんな者達は墓標参拝を願うものであるが、それには大きな危険が伴うのだ。諏倭はその内こそ魔物が
退けられているが、周辺は魔物達が跋扈する区域に囲まれており、並大抵の力では目的の場所まで辿り着けない。
過酷な道程は命を落とす可能性すらある為、日々厳しい鍛錬を積んだ成果が認められた者だけが諏倭へ赴く許可が得られるのだ。


そしていつの頃からだろう、己が力のみで諏倭に辿り着き、そして彼の石塔に誓いを立てる、それこそが一人前の
忍者となる最期の試練とされるようになった。参拝を成し遂げることが、黒鋼様に一人前と認められた証となるということだ。
多分に漏れず自分も、幼い頃何度もせがんで聞かせてもらった黒鋼様の武勇伝に憧れて、忍者を目指すようになった。
過酷な修行にも負けず、やっと師匠からこの地に赴く許可が得られたのだ。
竦んでしまうほど恐ろしい魔物共が襲い掛かってきても、御方への憧れを拠所に何とか戦い抜くことが出来た。
万感の思いで見上げる石碑は、忌まわしき魔物共に鋭く睨みを効かせているようにも、穏やかに故郷を見守っているようにも、
そして若き忍者達の挑戦を楽しげに待ちかねているようにも見えた。

感激に胸を震わせながら、ゆっくりと脚を踏み出した時。


「・・、・・・え・・?」



しかしそこには、予想外の先客がいた。



恐ろしい難関を潜り抜けねば、辿り着けないはずのそこに。
自分のような命からがら辿り着いた見習い忍者でもない、魔物など物ともしない厳つい戦士でもない。




重ねた純白と蒼の長薄物がなびく、華奢な背中。
透ける羽衣を被ったその姿は、触れれば手折れそうなほど儚い。
次の瞬間、ふわりと振り向いたその姿にーーーーーーー思わず、息を呑んだ。


「・・・・・ッ・・」


天界のようだと思った美しい山頂は、本当に天界だったらしい。
目の前に、天女が舞い降りたのだから。

透ける陶磁器の白肌、長い睫毛に縁取られ煌く蒼水晶。恐ろしいほどに美しく整った顔立ちに、月光を梳いた髪が流れる。
淡く色付く唇に添えられた指先には、小さな桜貝の爪。
幻想的な立ち姿はこの世のものとは思えず、絶句するしかない。


と、ほっそりした両の手が軽やかに打たれた。


「お見事ー!!よくここまで辿り着きました♪」

「へっ・・?!」

艶やかな唇から発せられたのは、浮世離れした外見におよそ似つかわしくない気の抜けた言葉。
盛大に戸惑いつつも、まことしやかに囁かれていた噂話が脳裏に蘇った。
まるで御伽噺のようなロマンチックな噂だったので、それが真実であるなどとは露も考えなかったのだが。


(・・あの噂が、本当だった・・なんて・・!!)





『御方の墓前では稀に、夢のように美しい天女と見える事が出来るーーー』




黒鋼様には、深い愛で結ばれたそれは美しい奥方様がおみえだった。
その方は稀世の不思議な力を宿しており、夫が天に召され長い時を経ても、全く変わらない天女のような姿のままに、
今も愛する夫を弔い続けているのだという。



ーーーーー伝説の忍者が愛した、たったひとりの人。



黒鋼様はあまりに偉大すぎて、実在の人というよりも伝説の中の英雄というイメージに近い。
しかし目の前にいる美しい人は、実際彼の奥方様だったのだ。
次元を飛び越えたような錯覚に頭が混乱して、そしてそれ以上に天女と見紛う美しさに頬が熱くてしょうがない。
言葉を失った自分に、奥方様はちょっと小首を傾げた。
高く結い上げた後ろ髪がはらりと一房零れ、それは金の雫のように輝きを添える。

「黒様の所に来るとよく、君みたいな子に会えるねぇ。皆、黒様が目標だって目を輝かせて・・
彼の意志は受け継がれているんだなって、嬉しくなる。ふふ、きっと黒様も喜んでるよー」
奥方様は石塔の土台に小さく腰掛け、花の綻ぶように微笑んだ。
やっぱり、やっぱりーーーーそうなのだ。
高鳴るばかりの胸を抑えて、慌てて居住まいを正し恭しく膝を折る。
「自分も、そうです!黒鋼様のような立派な忍者になることが、幼少よりの夢で・・!!」
「ほら、そんなに畏まらないでー。こっち来て一緒に座ろ?」
磨かれた高石に座る麗人がすらりとした脚を揺らすと、透ける薄物がまるで金魚の尾のように揺らめいて美しい。
指先で隣の空間を突付くのはここに座るようにという意味だろうが、素直にお言葉に甘えてしまうのは恐れ多いにも程がある。
(け、けども・・・!)
ゆらゆらと手招きする、輝くばかりに麗しい天女様。
(抗える人なんて、いるワケない・・だろう・・っ!)
その指先に操られるように恐る恐る近付くと、寄れば寄るほどに肌も瞳も透き通り、想像を絶する美貌に脚が震えてしまう。
ひと一人分空けた隣にそうっとお邪魔させてもらうと、甘やかな芳香が微かに鼻を掠めた。
周囲に咲き誇る優美な花々からか、奥方様の薄衣に焚き込められているのかーーーどちらにしても、その香りは柔らかな印象の
奥方様にとてもよく似合っていた。気付かれぬよう、胸の奥まで深呼吸しておく。

「黒様が目標かー、嬉しいなぁ。でもね、皆黒様を聖人か何かみたいに崇めてるけどねぇ、本当は暴れん坊でよく姫様に
叱られてたんだよー」
「えっ・・黒鋼様が、ですか?!」
「あとねぇ、オレがからかうとムキになっちゃって可愛いかったんだー。黒たんってば怒りんぼさんでねー♪」
「カワイイ・・・??く・・くろ、た・・ん・・」

今ではもう伝承の途絶えた段違いの大技を自由自在に操り、魔物の大群も一網打尽だったという日本国最強の忍者。
しかし実際に一番傍にいた人の話を聞くと、完全無欠だと思っていた偉人が手を伸ばせば届く程身近に感じられて嬉しかった。
憧れの忍者は物語の登場人物じゃない、本当に日本国をその手で守っていたのだ。
それにしても、かの黒鋼様が奥方様に『黒たん』なんて呼ばれていようとは・・!!


改めて石碑を見上げると、その元になみなみと注がれた一升瓶が数えきれないほど供えられていることに気が付いた。
視線を追った奥方様は細い指先で瓶の栓を摘み、悪戯っぽく含み笑いをする。
「お酒がね、だーい好きな人だったからー。ふふ、ちょっとつまみ食いしちゃう?」
「えええっ?!そ・そんなっ・・えええ、遠慮しておきますっっ!!」
身近に感じられたとはいえ、いくら奥方様の勧めであろうとこんな若輩者が黒鋼様へのお供えを拝借するなどとんでもない。
大慌てで両手と首を振ると、奥方様は優美に笑いながら栓を一本抜いてしまった。
「だーいじょうぶ!黒たんだってお酒は一人で飲むより、オレや君みたいな若い子と一緒に飲む方が楽しいってー」
「え・・じゃ、じゃあ・・・って、酔っ払ってたら帰り道、魔物の餌食になっちゃいますって!!」
念願の参拝を果たした上美しい奥方様に謁見出来すっかり舞い上がっていたが、よく考えればこの後は恐怖の帰り道が待っている。
紙一重で突破した危険区域にほろ酔い気分で踏み込めば、あっという間にあの世行きになってしまうのは間違いない。
それもそうだとまた笑って、美しい人はちょっぴりお酒を啜った。たまにこうして、愛する夫のお相伴に預かりつつお参りを
しているのかもしれない。

「あの・・この辺りに、お住まいなんですか・・?」
「うぅん、普段は白鷺城の奥の祷り場で、結界を張るお手伝いをしてるんだよ。
ちょっと時間が空くと、ここに来てるんだー」
白鷺城の祷り場といえば、日本国全土を守護する大結界を張る国一番の要所だ。姫様並みの術力がなければ、手伝う事すら
おぼつかない。噂以上の類稀な力を宿しているらしいこの方はきっと、まるで隣の部屋へでも行くかのように空間を渡りここを
訪れているのだろう。


ふと、金の長い睫毛が伏せられ濃い影が落ちた。
目蓋の裏には、在りし日の愛しい人の姿が映っているのだろうか。




この方は、愛する人を葬ってから、どれほどここに渡って来たのだろう。


石塔を見上げて、何十年、何百年ーーーーー



不思議な力を抱いて生まれた奥方様は、例え自分の意思と反していたとしても、果てしなく永い刻を過ごさねばならないから。





「・・黒鋼様が亡くなってからも、生き続けるのは・・寂しい、ですか・・?」
喪失感に囚われたまま生き続ける切なさを思い、気付くと呟いていた問い。
出すぎたことを口にしてしまったかと奥方様に目をやると、その人は細い首をゆっくりと振った。


白くしなやかな手のひらを、胸に当てて。



「この命はね、黒様が守ってくれたものなんだよ。
こうしてると、聴こえる鼓動が・・・・彼の愛」



その手のひらで太陽に輝く石碑を愛おしそうに撫で、果てしない空を仰ぐ。
宝石のような蒼い瞳に、澄み渡る青が映り込んだ。




なんて深い絆なんだろう。




「ぶっきらぼうでねぇ・・・でも、本当は誰よりも優しくて。
世界一、格好いい人だった」




ーーーーーああ、このひとを。
日本国一の忍者が、心から愛したのだ。





「・・オレは生ある限り、彼が愛したこの国を守り続けるよ。
そしていつか、オレも天へ・・彼の元へ還ったら。
抱き締めてもらうんだ・・」



青空に溶けたその言葉は、その向こうにいるたった一人のひとに、囁いたのだろう。




青く青く、何処までも広がる遥かな大空。
天まで届く、ただ見上げるばかりの荘厳な石碑。


そこから見て下さっているのなら、誓いを立てよう。
日本国一強い忍者、黒鋼様に。
高くそびえる黒曜石を真っ直ぐに見上げて、背筋をしっかり伸ばして。


「黒鋼様ーっ!自分はもっともっと厳しい修行に励んで、強くなります!!
そして愛する人達を、日本国を守ります。どうか、見守っていて下さい!!」



ザッ・・・と、

音を立てて吹き付ける風が、髪を靡かせて。
黒鋼様が頭を荒っぽく撫でて、一人前の忍者と認めてくれたような気がした。
『よし、頑張れよ』と笑いながら。



振り向くと、奥方様が嬉しげに頷いてくれた。

「ふふ、黒様に太鼓判押してもらえたみたいだね。さて、オレもそろそろ祷り場に戻りますかー」
「え?あ、あの、お話して下さって、ありがとうございましたっ!!」
勢いよくお辞儀をして顔を上げると、心配気な瞳が自分の足へと向けられていることに気が付いた。視線を辿り、
行き道で魔物に裂かれた傷口が熱を持って痛んでいることをようやく思い出す。憧れの地に参拝でき、しかも奥方様にも
会えたという興奮と感動ですっかり失念していた。
「大丈夫・・じゃなさそうだね。帰りは皆には内緒で、危険区域の向こうまで送り届けてあげよっかー?」
「いえ大丈夫ですっ!そんなことしたら黒鋼様に太鼓判取り消されますよぅ!!魔物と戦って帰ります、もっと強くなる為に!!」
両の拳を握り締める自分に、奥方様はまた、花のように笑ってくれた。


吹く風に薄物をひらめかせながら、鈴の音の笑い声を零す天女様。
夢のように美しいこのひとの心を掴んだ黒鋼様は、誰よりも誰よりも心の真っ直ぐな方だったのだと思う。


「頼もしいな。日本国の未来は、君みたいな若い子達が作ってゆくものだから・・」


薄蒼の衣から出した美しい手がひらひらと振られ、本当はとても名残惜しかったけれども、天女様と別れを告げた。








黒鋼様のご加護により諏倭には魔物の姿もなく、領域を出るまではのんびりと歩むことが出来る。
広がる草原は光を弾いて輝き、蝶は揺れる花々の間に舞っていた。
滅ぼされた日を境に、誰も住まう者のいなくなってしまった諏倭だけれど。
いつかこの地を目指す見習い忍者達が周辺の魔物を退治し尽くしたら、またこの地に人々が集まり、以前のような活気が
戻るかもしれない。
その頃は奥方様は黒鋼様と空の向こうで再会し、人々が助け合って暮らす故郷を、一緒に嬉しく眺めていることだろう。


(・・それにしても、天女様みたいに綺麗なお方だったなぁ・・)


幻のように美しいあの方は決して表舞台に出ることはなく、普段はお城の一番奥、幾重もの御簾の向こうに控えてらっしゃるのだ。
もう一度お会いしたいと願っても、決して手の届かない遥か遠くに。
師匠に一人前の忍者として認められれば、これからは様々な任務やさらに厳しい修行の日々が待っている。
過酷な道を数日掛けて到るこの地には滅多に来れるものではなく、ふらりと訪れるあのお方に会うことは至難の業だ。
きっともう二度と、奥方様にお目に掛かれることはないだろう。

(うぅ・・せめて、もう一目お会いしたい・・・)

輝くような微笑みを思い返しつつ、幾分肩を落として数歩歩き、ふと思い至る。
日本国忍者の最高峰、白鷺城付きの精鋭忍者部隊なら、内部の護衛を任されるではないか。
いつか上り詰めそこに入隊出来れば、お城の奥底に住まう美しい奥方様に謁見出来る機会があるかもしれない。
一目見ただけで夢の世界へ誘われるような、麗しい天女様。
高嶺も高嶺、最高峰の高嶺の花だけれど、ほんの少しでもお目通り叶えられるのならばこんなに幸せなことはない。
城仕えの忍びを目指すべく、自主訓練メニューをもっと増やそうと決意を込めて拳を握り締めた。

(だからか・・黒鋼様のお墓参りから帰った忍者が皆、異様に気合が入ってるのは・・)

日本一の忍者に誓いを立て気合を入れ直した、というのはもちろんだけれど。
もう一つ、奥方様とほんのちょっぴりでもお近付きになりたいという少々不謹慎な理由。
「わっ?!」
突然音を立てて、よろめくような突風が吹きぬけた。
『妙な下心を持ちやがったら承知しねぇぞ』と黒鋼様に凄まれたような気がしたけれど、ちょっとした後ろめたさから
そう感じただけ・・だと信じたい。
(申し訳ありません、黒鋼様!!分かっております、貴方様と奥方様の間に入る余地なんて、そんな大それたことは誰も・・!!)
念の為心中で丁寧に詫びつつ、奥方様がしていたように青空を仰ぐ。


(うーん、高嶺の花どころか・・空にいる黒鋼様のものだから・・・天空の花、だなぁ)


ともかく、やる気がさらに漲ってきたのは間違いない。
師匠の元に帰るまで全力で駆けると決め、弾みを付けて地面を蹴り勢いよく走り出した。



「よーっし!!!!頑張るぞーーーっっっ!!!!!!」




誰もが憧れる“伝説の忍者”の存在だけでなく、その麗しい奥方様の存在も、日本国忍者全体の相当なレベルアップに繋がった、
というのはまた別のお話でーーーーーーー








伝説の忍者黒鋼様は、“本当の強さ”を持っていたという。


奥方様と会った者は、皆分かる。
伝説の忍者が、本当の強さを知ることが出来た理由。



ただ、そのひとを守りたくて、抱き締めたくてーーー
どんな途方もない苦難辛苦にも、立ち向かっていった。
心から愛する、たったひとりの為に。



だから、“本当の強さ”を手に入れることが出来たのだ。




毎日努力して厳しい修行を続け、必死で頑張って。
そしてーーーーーそんな日々の中で。




いつか、そんなたった一人のひとに巡り会えたら。


そしたらきっと、黒鋼様のように。




誰よりも、誰よりも、強くなれる。





本当の強さ

深い絆

たったひとりの愛する人




巡り、巡る
巡り、巡るーーーーー





それは、永遠




永遠に、受け継がれてゆく心





淡く透き通る青空に、穏やかな風が渡る。
仄かに漂う花の香りと、遠い山間に反響する小鳥達の歌声。



ここ日本国には、鮮やかな四季と共に。




結ばれた心も、永久に巡ってゆくーーーーー




おわり




ここまでお付き合いありがとうございましたv
これをアップした現在、ツバサ最終回まであと数日という瀬戸際です!!うおおおどーなるんだあああああ
しかしこのお話、原作のラストと大いに矛盾がありませんように・・・特に諏倭の様子が心配です・・最終回で、むっちゃ復興して
皆ワイワイしてたらどーすんの・・?!?!でもせっかく書いたのでアップ!!!!
まあ・・・矛盾があろうと、色々あってこうなったんだと無理矢理こじつけておこうと思う!!!!!
日本国での黒鋼の存在は、私らで言う風間の小次郎とか服部半蔵的な、忍者達の目標や憧れの存在であり続けるんだろうなと
思うのですよ♪
直線上に配置
|戻る|