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学園ラブコメ15のお題

8 国民の休日

『明日の・・祝日・・。うち、来る・・?』


待ち合わせは昼前。
自転車は、いつもの通学路とは逆方向へ向かわせている。
青い空は爽やかに澄み渡り、道路脇には子供達が無邪気に遊ぶ。
健全な風景に少し罪悪感を覚えるのは、昨夜散々不健全なことを考えていたせいだと思われるが。

でも、俺はあいつが好きなんだ。
今はもう、確信を持ってそう言える。
初めて会った時から、何故か気になって仕方なくて。
いつの頃からかじゃれ付いてくるようになって、照れくさくて邪険にしていたけれど。
多分初めから、ずっとずっと好きだった。

だから、昨日かなり不埒なことを考えてしまった事も、許して欲しいー
などと、心の中のファイに言い訳しつつこいでいる内、だんだん待ち合わせの時計台に近付いてくる。

昨日華奢な指も小さな唇も、震えていたことを思い出す。
あんなファイは、初めてで。
どんな顔して、会えばいいんだ?

「くーろたぁーんっvvこっちこっちーっ!!」
「あぁ?!」
緊張感のまるでない呼び声。眉間に思わず皺が寄るが、これはもう癖になってしまった。
自転車を止め声の主を見ると、高台に腰掛けた細い脚をぶらつかせ、ひらひら手招きしていた。
しおらしく物陰で待っている様を想像していたが、正反対であった。えらい能天気である。
「だからな・・妙な呼び方を大声で叫ぶなっつってんだろがっ」
「いいじゃない、可愛いよー。くーろたん♪」
昨日の恥じらいは幻だったかのように、いつのもの調子に戻ってしまっていた。
ひょっとして気が変わって、今日はもう普通に遊ぶつもりとか・・。

そういえば、私服を見るのは久しぶりだ。
白いシャツに、細身のパンツ。遊びで付けたような細いタイ。
いつもよりちょっとくだけた感じの格好で、可愛いと思う。
品のいい顔立ちと金の髪に、仕立ての良さそうなその服はよく似合っていた。
ひょいと高台から飛び降りると、翻ったシャツから細い腰が見えてドキリとする。
「オレの家、ここからすぐだよー。自転車なら5分くらい。さあ黒たん号!れっつごーっ」
「おまえまた人を自家用車扱いして・・」
朝の恒例行事よろしく、手馴れた仕草で自転車の裏に飛び乗られる。重さは、まるでない。
さりげなくまわされる腕、白いシャツの下の、細い骨格。
掴んで抱き締めることが出来るならと、そう思うけれど。気が変わったのかどうか気になる。
とは言え、しおらしくされてもどう接したらいいか分からないし、いつもと変わらないファイの様子に
助けられたといえば助かったが。
「もうすぐお昼でしょー?下ごしらえしてあるから、楽しみにしててねー!
晩御飯も食べてってね。そだ、おやつもあるんだよーvv」
「おまえ、俺にメシさえ与えておけばいいと思ってねぇか・・?」
「へへー。だって黒たん、お弁当もいつもきれいに食べてくれるから、作り甲斐あるんだもんv
今日もおいしいものいっぱい作るから、残さず食べてってねー♪」
へにゃりと笑うこいつを見るに、メシだけで終わりそうな気がしないでもない。
ヘンな気、持ってるのは俺だけか?期待しているんだけれども。

「あ、そこ右曲がってー。ほら、ここだよ」
「うお?!これか?!」
遠くからも見えていた、巨大な建物。それがこいつの家だったらしい。
世界をまたに掛けるセレスコーポレーション社長宅なのだ、当然といえば当然だが。
「う・・噂以上だな・・」
「会社の会合とかでも使うから。全部が家ってわけじゃないよー」
門を潜り自転車をこいで数分、やっと庭を抜けて屋敷にたどり着く。
『すごいお宅ですねぇ!』などと、豪邸訪問のレポーターのようなことを言わねばならない気がしてくる。
宮殿のような白い階段を上って、ファイが大きな玄関扉を開いた。
「入って入ってー」
「げ、玄関広・・」
「たくさん人呼んだりするから、これ位いるんだよー」
吹き抜けの大理石の玄関は、美術館のエントランスのようだった。
現実味の希薄なこの屋敷に、それでもファイはよく馴染んでいた。
俺は全く浮いているような気がする。
・・こんな立派な家の大切な一人息子に、手なんか出していいのだろうか。
「どうぞー」
促されるままファイの裏に付き、廊下を進む。家というより、本当に城みたいだ。

『家でも父様の会社の関係で、いつもたくさん人が出入りしているでしょう。
相手もしないといけないし、あんまり落ち着けないっていうかー・・』

いつか言っていた、ファイの言葉を思い出した。
確かに、こんな家ではゴロゴロと寛げないだろう。一度俺んちにも呼んでやりたいな、と思う。
「家、こんなだから、友達も呼びづらくて。招待した友達って、黒たんが初めてだよー」
「と・・ともだ・・」
友達?やっぱりヤル気ないのか・・?!
引っかかったけれど、それでも初めて呼んだのが俺という事は、何だか嬉しかった。
「ふふ、変な感じ。家に、黒たんがいるなんて」
振り向いて楽しげに覗き込むファイに答えようとして、前からの人影に気付く。
服装からしてお手伝いか何かだろう、会釈をして通り過ぎて行った。
「誰もいないんじゃなかったのか?人がいるじゃねぇか」
「ん、お手伝いさんはいるけど・・お客さんのお世話は自分でするって、言ってあるから。
だから部屋には、誰も来ない、から。ゆっくりしてって・・ね?」
言葉の後半は、囁くような小さな声。俯いてしまったファイの耳が、ちょっと赤らんでいて。
(お世話は自分でって・・)
ひとつ心臓が、大きく打った。
恥ずかしいのを隠して、いつも通りにしていただけだったらしい。
照れ隠しのように小走りに駆け出したファイは、突き当たりのドアの前に立った。
「ここ、オレの部屋だよ。どうぞー」
「おわ」
自室とは大違いだ。高級ホテルのスイートルームってこんな感じじゃなかろうか。
落ち着けない気もするけれど、ファイがここで昔から過ごしているのだと思うと、
心の内を見せてもらえたようで嬉しい。
ドアを閉められて密室になり、また心臓が高鳴った。
「適当に座ってー。お茶、もって来るね。何がいいー?」
微笑むファイが、小首を傾げた。綺麗な金色の髪が、さらりと揺れる。
その微笑みは、どこか緊張しているようにも見えた。

どこまで、いいんだろう。

整ったその顔は、丁寧に造られた人形のようで。
瞳の蒼い宝石は、角度を変えるたび薄蒼や碧、様々な色彩に煌いて見える。
透ける白い肌、華奢な身体は少し乱暴に扱えば、すぐ壊れてしまいそうだ。
こうして改めて見ると、その姿はまるで作り物のようで、俗世間とは隔しているように思える。
俺を好いてくれたからといって、こいつでもそういうことをしたいとか思うんだろうか。
現実味のない容姿は、そんな欲など欠片も持たないようにも見えた。
綺麗なままでいて欲しい気もするし、いるべきのような気もする。

でも。

「ねぇ・・?」
返事をしない俺を、ファイが不思議そうに覗き込んだ。

好きなんだ。

好きだから触れたいし、抱き締めたい。
嫌がる顔は見たくないし、大切にしたいし、怖がらせたくない。
優しくしようと思うから。
嫌がったらやめよう。それまでは、・・いいだろうか。
俺を家に上げたんだ、覚悟はしているはずだから。

「コーヒーでいいー?」
くるりと半回転してドアに向かった、その腕を取った。
その瞬間、華奢な身体がびくりと震えた。
「お茶、は・・?」
「あとで」
「もうすぐ、おひる・・」
「あとで」
後ろから強く抱き締めて、細い顎をすくう。
「くろ・・」
その小さな口が言葉を発する前に、自分の口で塞いだ。
口内を舌で舐め上げ歯列に沿うと、腕の中のファイが身じろぐ。
まるで、その清純な唇を犯しているようで、ぞくぞくした。

大切にしたいし、怖がらせたくない。優しく抱こうとー

息の上がったファイをベットに押し倒し、両手首を戒める。
唾液に濡れた唇を奪った。もっと深く。
「・・んぁっ・・」
苦しげな吐息が聞こえたが構わずに、逃げられないようその細い身体に圧し掛かる。
簡単に絞め殺してしまえそうな細い喉が、ひくひくと震えた。

これじゃファイが呼吸できない。苦しがってる。
解放しなければ。

なのに。

とまらない。これは、何だ?

解放した頃には、蒼い瞳は朦朧としていて。
弛緩したようなその腕を、頭上に一つにまとめてきつく押さえた。
空いた手でシャツを破るように剥ぎ取ると、露わになる細い喉元、薄く白い胸。

どうしてだろう。優しく、したいのに。
まるで、無理矢理してるような。

首筋を舐め上げると、押さえた手首がもがくように揺れた。
薄く白い肌をきつく吸い上げる。
「・・ぁんッ・・」
口を離すと、穢れない首筋に焼きごてのような紅い痕がついて、それが俺を掻き立てる。
ファイの瞳から、涙が零れた。
もっと。もっと泣かせたい。
胸の飾りはピンク色に勃ち上がり、震えている。唾液を垂らすと、ぬめるように光る。
衝動に任せて、噛み付いた。

「いやあぁー・・っ!!」

泣き叫ぶような悲鳴が耳を裂いた。

嫌がる顔は見たくないし、大切にしたいし、怖がらせたくない。
優しくしようと思うから。
嫌がったらやめよう。それまではー

これじゃ、ファイを傷つける。苦しめる。
駄目だ、こんなのは。
こんなつもりじゃないのに。こんな酷い抱き方は。

覗き込んだファイの瞳は、怯えた色に揺れていて。
嫌、と言う拒絶が、鼓膜にまだ響いていた。

「・・嫌、か?嫌なら、やめる・・」

吹き込んだ言葉に、蒼い瞳が見開かれ、薄い唇が戦慄いた。

こんな苛めるような抱き方はー。

「・・いじ、わる・・」
少し掠れた声は、震えていて。ファイは顔をそらし、瞳を閉じた。
「・・もっと・・・して・・・」


その言葉が、引き金を引いてしまったのだ。


下穿きを引き抜いて、白く細い腿を開く。
「くろ・・っ」
秘部を晒され、羞恥から逃げるようと浮く腰を無理矢理押さえつけた。
柔らかな内腿を根元までなぞると、僅かに形を成し始めていたそれに行き着く。
(感じてる・・)
「やア・・ッッ」
吸い付くように口に含むと、ファイの身体がびくりと大きく揺れた。
「嫌ならやめるって言ってんだろ・・?気持ちぃなら、そう言えよ・・」
舌でしごくほど上向く中心から意地悪く顔を見ると、その潤んだ瞳は既に虚ろで。
「・・は・・っあぁ・・ん・・」
綺麗なこいつが、こんないやらしい顔をするんだと、思わず息を飲んだ。
(もっと、苛めたくなる・・)
膝裏に手を掛け、震える脚を肩まで引き上げる。
「おまえ・・俺のこと、好きなんだろ。ずっと、こうして欲しいって思ってたのか?」
低く訊くと、金の髪はゆるゆると力なく横に振られた。
「なあ・・正直に言えよ」
「く・・・くろたん、が・・・こんなこと、してくれるなんて・・思わなかった、から・・」
「こんなこと?」
ファイ自身の蜜でぬるついた指を、小さな蕾にゆっくり差し入れる。
「こういうことか?」
「ひっ・・あぅ・・くろたぁん・・・っ」
指を進めるたび、甘ったれた声で腕にしがみ付いてくる。
(壊したい)
もう一本増やし一気に突き入れると、ファイは弾けるような高い悲鳴を上げた。
「痛ぇか?」
「・・い、たい・・けど・・。いいの・・くろたん、だから・・っ」
薄い胸で浅い呼吸を繰り返し、途切れながら囁く。
「くろたんを・・かんじたい、の・・いたい、くらい・・」
「・・・ッ・・」

喘ぐようなその声に、胸の奥の欲望までも引き出される。

ファイの細い身体を無理に引き起こし、形のいい小さな唇に、己の猛ったものをあてがった。
桜唇が震えるのを見て、金の髪を荒く後ろに引く。
喉の奥まで一気に突き挿れると、苦しげな声と共に、蒼い瞳から涙が零れた。
「こんなことする奴でも・・好きなのか・・?」
小さな口には質量があり過ぎるそれを、薄い舌でちろちろと舐める。
切なげに眉を寄せ、上目遣いに俺を見て。
「・・すきなの・・」

「そうか」
これ以上我慢できずに押し倒し、白い脚を限界まで押し広げる。
ファイが何か言う間も与えず、そのまま一思いに奥まで貫いた。
「あぁーーーーっっ!!!」
断末魔のような悲鳴を上げたファイの瞳から、涙がぼろぼろと零れ落ちた。
きつく締め上げる壁に、目の前がちかちかする。
「・・感じる、か?入ってる、だろ・・俺が・・」
「ん・・くろた・・ん・・っ、・・すご・・おっきぃ・・っあつ・・い・・」
すすり泣くような声に、堪らず腰を打ち付ける。
突き上げるたびしなやかな背が弓なりになり、また高い悲鳴を上げる。
「や・・っぁあ・・ぁんっもっ・・ダメぇっゆるしてぇ・・っ!!」
抉るように奥を探ると、声にならない悲鳴を上げた。
「く・・くろがねぇ・・っ」
指が白むほどシーツを握り締めていた細い手が、俺のほうへ差し伸べられる。
その手を取って、華奢な身体を境が分からなくなるくらい強く抱き締め、そのまま思い切り突き上げた。
「ひああぁ・・っ」
大きく痙攣するように震えた細い身体は限界に達し、肉壁は引きつるように収縮する。
「・・ッ・・!」
それにつられ、俺は一番奥で欲望を叩き付けた。

背中にまわされた細い腕がぱたりと落ち、涙に濡れた瞳が閉じられた。
意識を飛ばしたファイを見てー

ーやっと俺は、我に帰ったのだ。



ファイが再びその瞳を開けたのは、昼の3時を過ぎた頃。
不思議そうに長い睫毛を瞬かせ、起き上がろうとしてー
あちこちを痛みが襲ったのだろう、固まってまた倒れてしまった。
「起きたか?」
「・・・あ・・」
やっと記憶が蘇ったらしく顔をぱっと赤らめ、すぐに柔らかい枕に顔を埋めてしまった。
「・・悪かった、な・・」
本当は、優しくするつもりだったのに。
ファイの細い腕に、鬱血の跡が見える。きっと、痣も浮いてくるだろう。
「・・痛かったろ。・・もう・・しねぇから・・」

こんな無茶させるつもり、なかったのに。
許して欲しいなんて、ずうずうしいにも程があるだろう。

そろそろと金の髪を撫でると、ファイは小さく身じろいだ。
「・・こんなに・・黒たんがイジワルだったなんて、知らなかったー・・」
じろりと寄せられた視線は、散々泣かされたせいで目元が赤くはれてしまっていて。
「こんなことまで、言わせるの・・?」
「え?」
また突っ伏してしまったファイは、聞こえないくらいの声で、囁いた。
「・・すごく、よかったから・・また、して・・・・」

「え?」
細い肩を、思わず掴んだ。
「おい、よく聞こえねぇ。もっかい言え」
「もー言わないよーっ。ほんと、イジワルー!」
うつ伏せた細い足をパタつかせる仕草が堪らなく可愛らしくて、思わず口元がほころんでしまう。
・・よかった。
「意地悪でも、好きなんだろ?」
調子に乗ってわざと意地の悪い口調で言うと、華奢な身体は枕で顔を隠したままころりと転がった。
少し上げたファイの顔は、恥ずかしそうに染まっていて。
「好き・・・・優しいとこも・・イジワルなとこも・・」
素直な言葉が嬉しくて、愛しさが、こみ上げて。
「俺も、好きだ」
思わずこぼした言葉に、ファイは蕩けそうな笑顔で微笑んだ。


(そういえば・・)
ファイをこんなにしてしまっては、密かに楽しみにしてた飯にありつけそうもない。
(・・でもま、いいか)
きっとこれからも、いつでもファイは、喜んで俺の為に飯を作ってくれるのだろう。
それに今日は、もっとうまいごちそうしてもらったし。
今日のが一番うまかったなんて言ってやったら、またイジワルだとむくれるだろうけど。

痛まないよう、細い身体をゆるく抱きしめ、額に口付けた。
とりあえず、傷が早く治るといいのだけれど。
今度は気をつけようと、固く心に誓う。


腕の中のファイは瞳を閉じて、また眠ってしまいそうだ。
うとうととするファイの寝顔を見て、今日は今までの人生で一番、幸せな休日だと思った。




更新が遅かったでしょう・・。サボッていたワケではありません。
・・・・えろってこんなに難しいんだ・・・!?!
初めてやってるところを書いてみようとしたものの、難しすぎてなんかもー
1ヶ月位かかってないかコレ?!?!生産効率悪!!!!
さらっとえろが書ける方がうらやましい・・。しかも何度も書き直したのに結局へたくそなまま(泣)。
もう二度とやらんと何度も思いましたが、経験をつめばさらっと書けるようになるという
期待を込めて、また挑戦してみたいと思います・・。
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