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ふたご幸せ物語・初えっち編2

(ん?)
衝撃に備えながら鍵を開けたのだが、きゃんきゃんと歓声が響くはずの玄関は静まり返っていた。
双子はどれだけの人が行き来していようと、俺の足音を聞き分けられるらしい。
だからいつもドアを開ける俺を待ち構え、子犬のように大はしゃぎで飛び付いて来るはずなのに。
帰宅に気付かない事など今までになく、靴箱に収まる小さな靴はふたりとも家にいることを示している。
まさか急病で寝込んでいる?料理でケガして泣いている?いや、悪者に攫われたのか?!
慌てて部屋へと向かったが、すぐに無事な姿が見えて胸を撫で下ろした。
ファイとユゥイはフローリングにぺたりと座り、愛らしいおでこをくっつけて何か内緒話でもしているようだ。
ヒラヒラした揃いの白いワンピース、透けるような白肌に金の髪が流れ、それはまるで双子の天使が
内緒話をしているような可愛らしい光景だ。
とはいえ部屋に入っても気が付かないとは、彼らにとって何か大変な相談でもしているのは間違いない。

「おい、帰ったぞ」
「きゃッ!黒た・・っ」
「おっおかえりっ・・な、さ・・っ」
ぱっと同時に振り仰いだ双子は、俺の顔を見るや滑らかな頬をみるみるバラ色に染めた。
スカートの裾から覗く細い膝は先だけほんのりピンクがかり、金の睫毛に縁取られたアクアマリンは艶々と煌く。
(く・・っ可愛い・・・)
その無垢な輝きの前に、己の胸の奥に潜む欲望がどれだけ醜いものかと思い知る。
誰よりも可愛い双子を俺は誰よりも愛しているが、いくら愛しくて堪らないからといって純粋な彼らを
性の対象にするなどとんでもない話だ。
手を出すなどもっての外、彼らの清らかな心と身体を守るのは俺の人生最大の役割だろう。
「どうした、何かあったのか?」
「ぁの・・ね・・?」
「ぅん、と・・ね・・・」
眉を顰める様も愛らしい双子は、やはり深刻な悩みを抱えているようだ。俯いてしまったふたりの前に
しゃがんで金の猫毛を撫でてやると、瞳を潤ませておずおずと顔を上げる。
その様に保護本能を刺激され、俺は決意を新たにした。
純真な心を曇らせる問題は解いてやり、穢れない身体は命を賭してでも守ってやるのだ。
「大丈夫だ、心配するな。どんな問題も解決してやるから、話してみろよ」
「・・・・ぁの、ね・・・・黒たん・・。ないしょの・・お話があるのー・・」
「・・お耳、貸して・・?」
やっと話す気になったらしい双子は恥ずかしげに両脇へ添い、俺の耳元へ可愛らしい指と唇を寄せた。


「・・・・男のコ同士、でもね・・えっち、できるんだってー・・・・v」


「・・・・・・・はいッッ?!」
両耳から、甘く響いたサラウンド。いつかは必ず知るだろう真実、恐れていたその時がついに来てしまったのか!
思わず硬直する俺の膝に、双子は細い指でもじもじとのの字を描く。
「ね、ビックリだよね・・?クラスのコが、男の子同士でも出来るって、言ってたんだー・・」
「恥ずかしくて、迷ってたけど・・・黒たんにも、やり方教えてあげる・・ねv」
「まっ待て!それより、飯作ってねぇだろ?!今日は俺が適当に・・っ」
ちょっとその問題は・・解決してはいけない・・!
動揺して立ち上がろうとしたが、小さな指がシャツの裾をきゅっと掴んだ。薄い爪の先までも可愛らしい
手に掴まれば、もう振り解くことなんか出来るはずもなく。
立ち上がることも出来ず固まる俺の下肢を、幼い指がたどたどしく擦った。

「あのね・・黒たんの、ここ。触って、おっきくして・・・。オレのおしりに入れてね、いっぱい動かすのー・・v」
「そしたら、黒たんすごく・・気持ちイイんだってv」

(おっきくして・・・入れて・・・・いっぱい、動か・・・ッ・・・・?!)
可愛い唇から零れたとは思えない卑猥な言葉に眩暈がし、絡み付かれるまま押し倒されてしまった。
胸の上の華奢なふたつの身体から、トクトクと脈打つ心音が伝わってくる。首筋に感じる細い吐息がやけに
熱く感じるのは、多分自分の動揺の所為だ。仔猫のように擦り寄るきめ細かな柔肌は、甘く薫りたつようで。
可愛らしく頬を染め、潤みきった蒼い瞳に俺の姿が映り込む。
「うれしい・・黒たん・・すき・・・、だい・・すき・・・v」
「ドキドキする・・黒たんとひとつに、なれるなんてー・・」

まだ誰も足を踏み入れぬ新雪のような、純真無垢な双子。
この穢れない身体をひん剥いて、誰より最初に俺が、醜い欲望で汚してしまう?
いや、他の誰にも触れさせはしない。
何も知らない真っ白な身体に、獣のような欲望を捻じ込んで。
淫らな快楽を教え込んで、何もかも全部、俺のものにーーーー


「駄目に決まってんだろうがあああああああああああーーーー!!!!!」


忍耐の限界に達する所を何とかやり過ごし、胸に乗っかる双子をころりと転がして立ち上がった。
握り締めた拳とこめかみに、血管がひくひくと浮かんでしまう。
「おまえらそこに直れッッ!!」
「え、何?黒たん・・?」
「は、はぁい・・っ」
怒鳴ったのは自分の淫靡な邪念を振り払う為だったが、双子らは戸惑い怯えた様子でちょこんと並んだ。
(いけねぇ、恐がらせちゃ・・)
幼い双子には、何の罪もない。大きく深呼吸して、何とか心を落ち着かせた。
「・・いいか?よく聞け。おまえらは俺のことを好きだと言ってくれるが、それは親を慕う気持ちを勘違いしてるだけだ。
いつか他の誰かと本当の恋愛をしたら、きっと分かる。だからもう二度と、俺にそんな事言うんじゃねぇ」
「え・・?!ちがうよ!だってオレ、黒たんのこと大好きだもん!!」
「他の誰も、好きにならないよ!黒たんのこと、世界中の誰よりも、ずっと一番大好きだもん!!」
甲高く可愛らしい声で反論する双子の肩に、そっと手を置いて制した。
これは、いつかは言わねばならないことだったのだ。
「あのなおまえら、俺の歳分かってんのか?恋愛ってのは、普通同世代でするもんなんだよ。
ファイもユゥイも、まだ13才だろう。それにおまえらは兄弟と俺しか知らないし、見ていない。
これからはもっと、他の奴も見てみろ。学校でも告白してくるヤツ、いっぱいいんだろ?」

肩に手を置いたまま静かに諭す言葉に、蒼い瞳は深く傷付いた色を宿した。
小さな唇が、ふるふると震えている。
「な・・んで・・?黒たんは、オレ達を・・お嫁さんに、してくれるんじゃ・・ない、の・・?」
「オレ達は・・・・黒たんの恋人じゃ・・、ない・・・の・・・?」


俺が引き取るまで、凍える牢獄に囚われていた双子。
外の広い世界も、嬉しい気持ちや楽しい気持ちも、何も知らなくて。
怯える双子に笑って欲しくて、ただ幸せにしてやりたくて。
春は、一面の花畑へ連れて行った。夏は、夜空に輝く花火を一緒に見上げた。
秋は、燃えるような紅葉の山を散策して。冬は、庭に積もった雪で雪だるまを作ってやった。
頬染めて俺の後を付いて走る双子は、いつだって腕を広げれば嬉しそうに飛び付いて。
俺のことが大好きだと全身で表現して、幸せそうに笑っていた。
俺は、こいつらが好きだ。誰よりも愛している自信があるし、誰よりも大切にする自信がある。
本当は一生傍で守ってやりたいし、心も身体も全部使って慈しみたい。
しかしこいつらは、まだ子供だ。これから俺だけでなく、もっとたくさんの世界を知るだろう。
今こいつらが俺に懐いているからといって、自分のエゴで閉じ込めてはいけない。
彼らの幸せを、誰より強く願っているから。
だから、いつかふたりそれぞれ恋人と手を取り合って巣立っても、それでいい。
きっとおまえらを知ってしまった俺は、もう二度と他に誰も愛すことはないだろう。
しかし、おまえらが本当の幸せを得られるのなら、それでいいのだ。


「嫁に貰うってのは・・・・子供相手の、ただの冗談だ。
俺は、おまえらのことは・・可愛い子供としか、思ってねぇ」
振り絞るような俺の言葉に、美しい瞳が大きく見開かれた。
みるみる溢れ出した透明の涙が、ほとほとと音もなく零れ落ちる。
声も立てず涙を零す双子は、ただ唇を震わせて。


俺のことが大好きで、誰よりも信頼している双子。
俺の酷い言葉は、その小さな胸をどれだけ傷付けたことだろう。
泣きながら部屋へ閉じ篭ってしまった姿に、胸が張り裂けそうに痛んだ。
違う、俺はおまえらを誰よりも愛している。
出来ることならそう言って、今すぐ強く抱き締めてやりたい。
あいつらの望むまま、俺の本当の気持ちのまま、胸の奥に巣食う欲望すらぶつけてしまったら。
それでもあいつらは、幸せだと微笑んでくれるのだろうか。

しかし、親代わりの俺がそんな事をしてはいけない。
それは双子の、取り返しの付かない傷になってしまうだろう。


誰よりも愛しい双子に、誰よりも幸せになって欲しい。
それが俺の、何よりの願いだから。






黒鋼の歳ですが、一応出会いは双子が5歳、黒鋼が19歳くらいかな?
双子が13歳になったから、黒鋼はえーと・・・27歳?
なかなかえろにいけないのは双子を心から愛するが故ですが・・いい加減次こそラブラブえっちにしたい・・!
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