紅い瞳が、獰猛な光を灯す。
「・・どこに、何を?」
「・・な・・・・」
「キモチいこと、して欲しんだろ?」
黒鋼の荒い呼吸が、ファイの熱を煽る。
前を寛げると、固く赤黒い男根がそそり立ち、どろりとした透明な液にぬめる。
「・・・ぁ、あ・・っ」
潤む瞳に大きく張り詰めた彼自身を映し、ファイは細い喉をこくりと嚥下した。
何度も何度も嬲られ犯される快楽が脳裏に蘇り、その感覚に浸されてゆく。
腰の奥が痺れ、熱に浮かされたように震える唇を動かす。
「・・・・、オレ、の・・に、おとぉさ、の・・・挿、れ・・てっ・・・」
「挿れて、どうしてほしい?」
「奥・・ま、で・・っ、おとぉさんで、いっぱいに、し、て・・ぇ・・っ」
涙を零し懇願するファイに、義父は口端を歪めるように吊り上げた。
拘束された細い脚をぐいと掴み、小さな蕾に大きく膨れた欲望を押し当てる。
腿をさらに広げ、引き裂くように貫いた。
「ぃやぁぁーーっ!!」
弓なりになった白い身体を抱え込み、何度も揺すり上げる。
痛いと泣きながら蜜を零すその身体を、さらに奥まで抉るように押し付けた。
「ぃい・・っあ、・あぁん・・ッぁあ・・・っ」
激しい抽挿に大きく痙攣したと同時に、ファイは抗うことも出来ず幼い欲を溢れさせた。
薄い白濁を筋張った指で拭い、惚ける蒼い瞳の前で滴らせる。
「誰が許した・・・いっぱい出たぞ」
「・・だっ・・、てぇ・・・・お、・・とぉさ・・が・・っ」
「言い訳するような口は、こうしてやるか」
黒鋼は布を丸めて小さな口に詰め込み、吐精の余韻で回らない舌に押し付けた。
「・・ふ、ぅん・・っ」
「この方が、興奮すんだろ、てめぇは」
「んっ・・ぅん・・・っ、・・っ」
絶頂にひくひくと打ち震える身体は、口を塞がれ乱暴に陵辱される。
ファイは拘束されたまま、聞こえない悲鳴を上げた。
囚われて、声も出せず、奥まで犯される。
きっと命だって、簡単に。
「・・ふっ、ぅんっ・・・・んんッ・・」
ただ奥深くまで荒らされねじ込まれる快楽に、意識が遠のいてゆく。
道具みたいに陵辱されて、思うが侭に全てを奪われる。
他の誰でもない、貴方に。
気の狂いそうな愉悦に、息の吸い方すら忘れてゆく。
視界が白く染まった瞬間、身体の奥に熱い迸りが力強く叩き付けられる。
痺れるほどの波に飲み込まれ、
ファイは意識を失った。
ー全身が、鈍く痛む。
窓の外の漆黒には、細い月が白光を放つ。
目醒めると縄は解かれ、ベットに横たえられていた。
普段色味のない腿に浮かぶ、紅い痕。
寝返りを打とうとしたけれど、うまく身体が動かない。
「・・・・痛むか」
呟くような言葉に視線を移すと、義父がベット脇に佇んでいた。
暗闇でも、鈍く輝く紅。
まるで紅い月のような瞳は、どこか哀しげに見えた。
「・・・・・どうして、逃げない・・・・」
筋張った手のひらが、細い指を緩く掴む。
「・・ここを出て・・早く誰かに、助けを求めればいい。
すぐに、ここから逃れられる・・・」
離れてゆく、大きな手のひらを。
「・・ずっと、一緒にいたいの」
白い指先は、消え入りそうな力で、捕らえる。
「・・・一緒に、いて・・、おとうさん・・・・」
朧な月明かりの、蒼い影のせいかもしれない。
義父が歪めた顔は、何だか泣き出しそうに、見えた。
知ってる。
貴方が、苦しんでいることを。
知ってる。
貴方は母を、こんな風には抱いていなかった。
知ってる。
母へのものより激しい、オレへの欲望をー
貴方は、操れない。
ねぇもっと、オレの為に苦しんで欲しいの。
貴方の心を、オレでいっぱいにして欲しい。
いっそ、狂ってしまったってー
オレを、殺したっていいんだ。
貴方は知らないだろうけれどー
オレはずっと、母に嫉妬していた。
貴方に選ばれた、母を。
ふたりきりになれて、貴方に奪われて、嬉しかったんだよ。
貴方は知らないだろうけれど。
義父に、わざと儚く微笑みかけて。
蒼い瞳は、そっと、閉ざされた。
完
本当は悪い子。て、お話でした。
お互い好きで好きでたまらない故、ちょっと歪んだ愛の形なのです。互いに囚われの身。
ううむ、やっぱり可愛いファイたんに酷いことは出来なくて、SMにはならなかった・・(汗)