1.嫉妬
「ファイ、髪に何かついてるよ。取ってあげる」
ユウイはそう言うと、ファイの頬に手を当てた。自分と同じ顔。自分と同じ瞳。そして同じ形の唇。
黒鋼と二人きりの時、どんな表情をしているのだろうか。
そっと唇を近付ける。イタリア(むこう)では挨拶。だからファイはなんの疑問もなく受け止めた。
ユウイはファイの腰にそっと手を添えると、舌で強引に歯列をわり口腔に侵入した。ファイの瞳が大
きく見開かれ身体が強張った。ユウイを押し返そうとファイは腕を伸ばそうとしたが敵わない。
ユウイは腰に当てた腕に力を込め、力ずくで抱き寄せた。そのまま座っていたソファへと押し倒す。
自分と同じ色の瞳をじっと見つめた。
「黒鋼先生は、この後、いつもどうするの?」
ゆっくりとそう言うとファイのシャツを捲り上げた。
ファイは真っ赤になって手足を振り回そうとしたが、明らかにユウイの方が力が強い。ユウイは言っ
た。
「無駄だよ。シェフの仕事は意外と力がいるんだから。いつも黒鋼先生に荷物を運んで貰っているフ
ァイはおれに勝てないよ」
嫉妬だ。
ユウイが黒鋼を好きな事なんて知っていたけど。
彼を欲しいということも知っていたけど。
(どうしよう)
そう思った時、インターホンが鳴った。
ピンポーン
「はーい」
ユウイがファイの様な声の調子で返事をした。しかしファイの上から動こうとはしなかった。ファイ
は慌てて再び抵抗したが、抗うことはとても無理だった。
ガチャガチャ
「今返事したの、ユウイの方か?」
そう言いながら鍵を開けて黒鋼が入って来た。
「お?」
ユウイはまだファイの上だった。ファイのシャツも、まだはだけたまま。
「ふーん」
黒鋼は荷物を置くこともせず、意味深な眼で双子を眺めた。
ユウイはにっこりと微笑んだ。
「黒鋼先生も、どうですか?」
「!!! や、ダメ! ユウイ、離して!黒様もユウイを止めてよっ!」
ファイは叫んだが、二人は何も聞こえないかのように会話を続けていた。
「俺はいい」
黒鋼の言葉にファイは少しだけホッとして、もう一度ユウイを振り払おうとしたが。
「コイツは邪魔して欲しくないみたいだからな。見ててやるよ」
信じられない台詞に耳を疑った。ユウイは
「そう。じゃヤりたくなったら言って下さい」
そう言うとファイの服を剥いでいった。
「や、やめて、」
ファイは懇願したが誰も聞いていない。
ユウイはファイの胸に唇をつけた。飾りを激しく吸い上げ、舌先で縁に沿って円を書くようにゆっく
りと舐める。片手でファイ自身を扱けば、すぐに透明な汁が溢れ出た。
「あぁっ、やぁん、ああぁっ」
ファイは黒鋼に見られていると思うと、普段と同じように弄ばれているのに快感と恥ずかしさは何倍
にもなっていた。恥ずかしさは感じ易さを増すだけだというのに。
ファイは挿入されてもいないのに、身体を震わせ眼の端に涙を浮かべながら淫らな声をあげている。
ついにファイはユウイの手で昂みに達した。
「はぁ、はぁ・・・」
ファイはまだ快楽の余韻に喘いでいる。
しかしユウイはファイを俯せににすると、秘部を開き指を入れ乱暴に掻き回した。
「あぁっっ!」
不意に訪れた快感は、またもファイを昂みへと導いた。
暫くそのなまめかしい姿を眺めていた黒鋼だったが、ついに一物を取り出した。
ユウイはそれに気付くと言った。
「代わりますか?」
「いや、お前は下をやってやれ」
「はい」
ユウイがファイを口に含むと、それはすぐに体積を増した。
2.3人で
黒鋼はファイを後から抱き上げると、胸の突起を弄びながら耳元で囁いた。
「出したばかりなのに、インランだな、お前」
「ちが、う・・・」
ファイは力無く抵抗していたが、それは最早抵抗と言えるものではなかった。黒鋼はファイの胸の飾
りを改めて指先でそっと摘むと、その円周をユウイがしていたように円を書いて刺激した。何度も同
じ刺激を与えられる内、やがてファイは欲望を求める事しかできなくなっていた。
ユウイがファイを口に含み、黒鋼が後ろから突き上げる。前と後ろからく来る初めての刺激に、フ
ァイの意識はなくなりそうだった。しかし意識を失わない程度の激しさで攻め続けられ、ひたすら喘
ぎ声をあげるしかできない。ファイの足元はとっくにフラフラで、黒鋼の支え無しでは立っていられ
ない程だった。
ピクン、ピクンっと身体を震わせ、虚ろな眼で快感を貪っている。そんなファイは、ついに最期の昂
みを迎え、気絶した。
3.トレースと言葉
ユウイは顔を白くベタベタにして、黒鋼を見上げた。黒鋼は
「次はお前だ」
と言うと、ユウイの上に覆いかぶさった。
「えっ、黒鋼、おれっ」
ユウイが言い終わらない内に唇は塞がれた。口腔に侵入した舌に応えることは、既にユウイには条件
反射となっていた。やがて来る快楽が激しくなる事を予感させ、更に気持ちが昂ぶってゆく。
黒鋼は口づけを解くと、耳元で囁いた。
「お前がアイツにしたことをそのまましてやるよ」
ユウイは瞳を逸らすためにチラリとファイを見たが、反って改めて自分がした事を思い出す事になり、
今更になって恥ずかしさが込み上げてきた。
黒鋼が胸の飾りに舌を這わせ、時々優しく、時には激しく吸い上げる。
「はぁ、あぁっ、はぁぁん」
嬌声をあげるユウイに黒鋼は楽しそうに更に突起を吸い上げた。
耳朶を甘噛みし、激しい嬌声を楽しんだ後、まずは後孔に指を挿れ、乱暴に掻き回す。
「あぁっ、あぁん」
ファイとは違うリズムの嬌声が部屋に響く。黒鋼は同じ顔なのに全く違う嬌声に昂奮していた。
やがてユウイは昂みに達した。ソファに座らせ、恥じらうユウイの股を強引に開き、間に顔を埋める。
唇で優しく触れるだけでユウイは大きくなり、すぐに汁が溢れ出した。黒鋼は舌先でそれを舐めとる
と、大きな口で根元まで頬張った。
触れるだけで艶声をあげる場所を特に念入りに刺激すると、ユウイは声を上げる間もなく放出した。
そして黒鋼はユウイを俯せにし、腰を一抱えにすると後孔を貫いた。
「あぁぁん、ああっ、はぁん・・・」
またも、ファイとは違うリズムの嬌声が響く。黒鋼は更なる昂ぶりを覚え、激しく突き上げた。
突き上げながら、ユウイを扱く。卑猥な言葉を耳元で囁けば、何度でもイク筈だ。黒鋼は、動作を止
めることなく、耳朶に唇をつけて囁いた。
「気持ちいいか? ファイとお前、どっちが感度がいいんだろうな?」
「やっ、やっ、そんなこと・・・言わな、あぁぁん、いでぇ・・・」
ユウイは言葉を紡ぎながら放出した。
「何だ、あいつと比べた方が感じるなら、いくらでも言ってやるぜ?」
「ちがっ、いやっ、そんなの、あぁんっ、聞きたくないよぉっ・・・ああぁんっ」
黒鋼はユウイの言葉を無視して囁き始めた。
「一番感じる場所は、お前は耳。あいつは乳首」
「やぁぁ、あああん」
耳朶と、乳首を刺激する。
「一番触って欲しい場所は、お前は前。あいつは後だ」
「ああっ、やん、あぁんっ」
今度はユウイ自身を掴み、後孔に挿れたままだった黒鋼がぐりんぐりんと動いて掻き回す。
「手っ取り早くイかせる時は、お前にはこうしながら根元を扱く。あいつには口でしてやるんだ」
「あぁぁん、ああっ、あぁっっ・・・」
耳朶を唇と舌で愛撫しながらユウイの根元だけを扱くと、程なく白い液が飛び散った。
黒鋼は、満足げにその様子を見届けると、改めて腰を激しく突き動かした。
「ああぁっ、あぁっん、あぁっっ・・・」
ユウイとともに黒鋼もついに昂みに達した。
4.再び3人で
ファイは、ユウイの声で目を覚ました。まだはっきりしない頭で声のした方を見ると、まるで鏡に
映った自分が黒鋼と性交しているかのような姿が目に映った。思わず、声が漏れる。
「黒・・様? うそ? ユウイ?」
ファイの声に、黒鋼が応えた。
「目覚めたか。なら咥えろよ」
そう言いながらユウイとの結合を解くと、ソファに座りファイにそのままの竿を差し出した。そして
まだ戸惑っているファイの頭を押さえると言った。
「ほら、ちゃんと咥えろ」
「んんっ、あぁっ、あんっ・・」
ユウイがファイを後からファイを抱きしめるようにして胸の飾りを摘んでいた。ファイの中心が固く
上を向く。しかし舌が止まってしまった。喘ぎ声だけがファイの口から紡がれる。
「はぁ、はぁあん、あっあぁんっ」
「舌を動かせよ」
黒鋼が不機嫌そうにファイの顔を自分に押しつけた。
「んんっ、ん、」
ファイは苦しそうに眉根を寄せている。ユウイは構わず胸を刺激し続けた。更にファイ自身を再び扱
き始めた時、黒鋼の手がユウイの腰に伸びた。黒鋼はユウイの腰を持ち上げると、中心を掴み扱き始
めた。ユウイは我慢できずに嬌声を上げた。
「あぁぁん、あぁっっ・・・」
ファイは、快楽に徐々に恍惚の表情を浮かべ、黒鋼を夢中で頬張っていた。丁寧に亀裂を舐め、時折
吸い上げると、黒鋼も思わず快楽の声を上げた。
ファイは放出された黒鋼の汁を飲み干した。口から溢れた汁を、ユウイが舌で舐め取ってゆく。
再び、ユウイがファイを、黒鋼がユウイをそれぞれ扱いてやると、双子は同時に放出した。
END